seven play's blog

自然派ママの育児耳より情報

落ちこぼれをなくす期待の個別教育、イエナプラン教育とは

 

 

こんにちは、サティです。

名古屋の公立小学校でオルタナティブ教育であるイエナプラン教育を取り入れる計画があると聞き、イエナプラン教育について本を読んでみたところ、素晴らしくてびっくり。

 

画一から個別へ、という教育の大きな転換です。

従来の画一教育では落ちこぼれを作ると言う問題意識から、子どもひとりひとりが、学校に通っている間の継続的な発達を目指しました。イエナプラン教育が広まったオランダでは、かつて小学生の留年が多いのが問題となりました。日本では、留年と言うのはあまりありませんが、ニートや引きこもりといった同じような落ちこぼれの問題があります。

イエナプラン校の教室にはグループが作れる机といすが用意され、教員は少人数のグループごとに教え、一度の説明で分かった子どもはさらに挑戦的な課題をし、わからない子にはその子に合った教材を用いてサポートします。

 

オランダのイエナプラン教育の特徴としては、

  • 幼稚園教育から初等教育までの断絶をなくすために4歳から12歳までを初等教育とする
  • 理科と社会を合わせてワールドオリエンテーションの時間とし、実践的な実習をする。これは科学の知識ではなく心(発見し観察し探求する)を育てる内容となっている
  • クラスやクラス内のグループを異年齢の子どもで構成し、さらに発達に遅れのある子や障害児も分けず一緒に学ぶことで多様性を受け入れ他者や社会との関わり方を身に付ける
  • 地域社会との結びつきが少ない現代社会を鑑み、学校がその代わりとなるよう先生と生徒と保護者の対話を重視する。校庭は緑豊かで、学校を心地よい環境にする。
  • 教員を権威的な「教師」ではなく対等な立場の「教育者」、「養育者」、「グループリーダー」等と呼ぶ
  • 教員の育成に力を入れ、教員にアドバイスする機関があり、研修や教材が豊富に用意されている

 

またイエナプラン教育がオランダでとても広がることができたのは、戦後の社会情勢、画一教育に対する国民の危機感もありますが、イエナプランの理念がオープンソースでありそれに照らし合わせながら自分の国やそれぞれの学校でどのように取り入れたらいいか自由にアレンジができること、さらに教育関係者らがドイツ発祥の教育法を自国にどのように取り入れたらいいかという合意を時間をかけてじっくりと築き上げてきたことがあると思います。

 

個別教育ときいて思い出したのは、「ケーキの切れない非行少年たち」という本。

ケーキの切れない非行少年たち(新潮新書)
 

 犯罪を犯して少年院などに入れられた子どもたちをカウンセリングしてきた著者が、こういった子どもが認知能力に発達の遅れがあり、そのために学校の授業についていけず、親や教師から落ちこぼれ認定され居場所がなくなり、非行少年のグループに入ることで軽犯罪を犯し、さらには重犯罪に至る悪循環があることを指摘しています。

非行少年というとものすごく凶暴であるとか性格が悪いとかを想像するのですが、びっくりするほど普通の少年なのだそうです。なんでこんなふつうの子が??と突き詰めた結果、認知能力の遅れを発見したそうです。

個別教育なら、こういう発達の遅れがある子どもに対し、その子のペースで学習させてあげられます。発達の遅れがあっても、障害があっても、それはその子の一面にすぎず、ほかの子より優秀な側面もあります。子どもたちは、いろんな個性があること、助け合うことを学ぶのです。

風俗店で働く女性やホームレスも、軽度の発達障害であることが多いとききます。個別教育なら、将来の選択肢をもっと選べるようになるのではないでしょうか。

 

いうまでもなく教育の成功は社会全体にとって大きな利益になります。日本は高齢者寄りの予算配分とききます。将来を担う子どものための予算を増やすべきです。

 

私の好きなシュタイナー教育はちょっと特殊なところがあるので、公立学校に取り入れるにはハードルが高いですが、イエナプラン教育ならすぐに取り入れられる要素がたくさんあります。そもそもオープンソースですので、日本に合うようアレンジできます。ひとりの先生が自分の授業だけでもできそうです。

 

それにしてもリヒテルズ直子さんの詳しい戦後ヨーロッパの情勢、オランダの情勢、イエナプラン創始者から広まるまでの複雑な経緯をわかりやすくまとめられた本書はすばらしいです。ほかの著書も読みたくなりました。